ある人を思い出す

毎年この時期になると、ある人を思い出します。

初めてその人にお会いしたのは、三宮のとあるバーでした。
ラガーマンがよく訪れるバーで、マスターが紹介してくれたのです。
その時の印象は、「こんな格好ええ人、ほんまにおるんや」でした。

何度か顔を合わせるうちに、お仲間との飲み会に誘って頂くようになり、いつしか「木下さん」から「きーさん」と呼ばれるようになりました。
当時、その人は選手としてチームを日本選手権7連覇に導いた後、ゼネラルマネージャーに就任し、同時に日本代表監督を務めるという重責を担っていたのですが、そんな素振りを微塵も見せず、そのルックスと真逆のネタで深夜のゲイバーを笑いで満たしていました。

彼がこの世を去って7年。
現在のリーグワンは、各国の代表選手が名を連ねる戦いの場へと進化しました。

知性に富み、闘争心に溢れ、そして何より人情の厚い男。
ミスター・ラグビー 平尾誠二 享年53。

「あなたの人懐っこい笑顔を、忘れることはないでしょう」